【エネルギー溢れるアート】アール・ブリュットふろしきの魅力

■ 商品が出来た背景と目的
アーティスティックでカラフルなふろしきを生み出す一方で、障がいのある方々のアート活動の支援を出来ないか、との思いから新たなプロジェクトがスタートしました。
そこで、障がいのある方たちによるアート作品を社会に発信し、アーティストの支援、紹介を行う3つの団体の、
と、むす美がコラボレーションし、“エネルギー溢れるふろしき” の『アール・ブリュットふろしき』が生まれました。
団体が支援するアーティストたちのアート作品をふろしきとして商品化し、販売。その売上の一部が、アーティスト本人と所属団体に還元される仕組みになっています。
■ 「アール・ブリュット(Art Brut)」とは
フランス語でArt(アール)は芸術、brut(ブリュット)はワインなどが生(き)のままである様子のことを表し、1945年に画家のジャン・デュビュッフェが考案しました。
障がいがある無いに関わらず、正規の美術教育を受けていない人が自発的に生み出した、既存の芸術のモードに影響を受けていない絵画や造形のことを指しています。
日本語では「障がい者アート」、英語では「アウトサイダーアート」等と呼ばれています。
■ デザインとふろしきの特徴
1.長方形から正方形へ
原画のアート作品


元になるアート作品は、長方形のキャンバスや画用紙に描かれています。
ふろしきとして使用する際は正方形にしなくてはならないので、ふろしき専門店としての経験を活かし、広げた状態と包んだ時の変化を考慮しアレンジをしました。
2.原作のタッチへのこだわり

通常、原画の手描き感を損なわない様に再現する為には、インクジェットプリンターを使って表現しますが、販売価格が高くなってしまいます。
手描き感を表現しながらもコストを抑えられるよう、1 色1型で染めるオートスクリーンを採用しながらも色を掛け合わせることで可能な限り原画の手描き感を再現しました。デザインによっては最大15型を使い、原作のタッチの再現に挑みました。
3.光沢のある汎用性の高い生地を採用

光沢があり発色が良く、手描き感のあるデザインを引き立てる綿100%のサテン生地を使用しました。


綿サテン生地にすることで、スカーフやハンカチなどふろしき以外でも幅広い用途でご利用いただきやすいようにしています。3つの支援団体でも販売しやすい仕様に工夫しました。
4.ギフトに最適な封筒型パッケージ

ふろしきのデザインがそのままデザインになっているカラフルなパッケージはそのままギフトとしてプレゼント出来るデザインです。背面には、作者のプロフィールや包んだ時のイメージ写真も掲載しています。
■ アール・ブリュットのラインナップ
くねくね模様 ネイビー


「くねくね」という言葉からイメージして描かれた作品です。登場する動物たちも猫以外は「くねくね」という言葉の響きから思い浮かんだ想像上の動物です。
原画はボーダー状にくねくね模様が描かれていますが、ふろしきとして使用した時にボーダー状になる様、向きを斜めにアレンジしています。

原画

4つの角にそれぞれ違うモチーフを配置

アートの作者 : 日輪浩司
1964年生まれ。大阪府在住。冊子表紙やホームページのイメージ画像等、多くのメディアで作品が使用されている。
1988 年 東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。
1991 年 亜細亜現代美術展入選。
2003 年 アートビリティ登録作家となる。
風 チャコールグレー


風が強く吹いている日に、その強く吹く風を描きたくなって一日で描き上げた作品です。
下書きもなく数時間の間にペン一本で一気に描かれたそうで、特別な才能のなせる業と言えます。手描きで描かれた際のペンの筆跡を表現していて、包む方向で違う模様が見えるように工夫されています。

原画

ペンの筆跡を再現

アートの作者: mili
1982 年生まれ。幼少期より絵を描くことが好きで、コンクールなどにもたびたび入賞。美術系の学校への進学を目指していたが、家庭の事情で断念し、以後一人で絵を描き続けている。
見たもの、聴いた曲、感じたこと、またその時々の心境を好んで描く。そして画面には、独特にデザイン化された線・点・文様の世界が広がっていく。
ピコレース ホワイト


優しさや可愛らしさをテーマに描かれた本作品は、ひとつひとつ描かれた無数の丸いラインが大きな模様を作り出しています。何色もの色鉛筆で描かれたぬくもりのある作風です。色鉛筆を何色も使って描き出されたラインを写真製版の技術を使って再現しました。

原画

グレーのフチを追加してアクセントに

アートの作者: tomoko
1976年生まれ。東京都在住。自分の可能性を模索中に、エイブルアート・カンパニーの存在を知り応募を決意。日常生活の中で描きたいテーマを見つけてはメモに残し、自宅で音楽を聴きながら、その日の気分で描きたいものを描いている。
いのししの子供たち ピンク / ブルー


鮮やかに彩色されたいのししの親子の姿が実に愛らしい作品です。1 枚の絵としての素晴らしさだけでなく、ふろしきとして包んだ際に効果的な背景やモチーフの配置にも注目です。
ふろしきでは、原画よりも少し明るく鮮やかな色使いにしています。塗りムラを再現しているところもポイントです。

原画

太陽は作者のトレードマーク

アートの作者: TSUCHIYA AKIO
30 年以上にわたり好んで動物や植物を題材に描き続けている。テーマとなる動物などは旅行先でみたものをスケッチしたり、パンフレットに載っていたものから引用したり。
下絵も無く、いきなりキャンバスなどに描くスタイルで制作され、独特にデフォルメしたモチーフ、「土屋流」ともいえる鮮やかな色彩が目を惹きます。
遊び場 マルチ


幼稚園の頃、お日さまがよく当たる小さな砂場で、みんな一緒に安心して遊んだ思い出を描いたものです。何かに暖かく包まれていたように感じた気持ちを表現しています。一筆一筆、丁寧にペンで余白を生めるように描かれたタッチを出来る限り再現しています。合計11 色を掛け合わせた高度な技術の染色で表現しています。

原画

マーカーのタッチを再現

アートの作者: 岩崎菜摘子
1977 年生まれ。東京都在住。小さな粒を拾っていくように丁寧にゆっくりと描いていくスタイル。
鳥や果物、瓶や葉っぱなどを好み、自然と彼女なりのカタチとなって表現されていきます。
水性のサインペンで色を染めていくと気持ちが落ち着き、描くことで心の循環を促しています。
いろいろな色のさかな


動物や魚、昆虫などの生き物が大好きな作者が、魚を好きな気持ちを表現した作品です。作者が動物園や水族館へ行くのが好きという事を知り、周りにフチを付けることで水族館の窓から魚の群れを覗いているようなデザインにアレンジしています。シリーズでも最多の15 色を掛け合わせて染められています。

原画

魚の内側から円を描く独特なタッチ

アートの作者: 服部憲政
1971 年生まれ。愛知県在住。独自の視点やデフォルメによるユーモア溢れる作品が特徴。
サインペンにより、生き生きと色彩豊かに描かれた作品にファンも多い。2009年には、「アジア・パラアートTOKYO 展」出展。
■ 最後に
この取り組みは、むす美が推進する**SDGs(持続可能な開発目標)**の理念にも通じており、
「包む文化」を未来へ届けるだけでなく、アート作品を世に送りだし、アーティストや団体の支援にもつながっています。
私たちが実際に団体を訪れ、作品に触れてみると、そこには圧倒されるほどの個性と情熱がありました。今この瞬間も、日々新しい作品が生み出され続けています。
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